
順位戦 / 2024年4月1日~2025年3月31日(令和6年度)
2025年3月11日(火)、日本将棋連盟に所属する棋士の令和6年度(2024年度)順位戦ランキングが確定しました。
順位戦は、A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5クラスに分かれ、棋士は1年間をかけて昇級を目指します。
順位戦は棋士にとって最も重要な棋戦であり、日本将棋連盟から参稼報酬が支払われ、上位クラスほど報酬が高くなります。企業に例えると、順位戦が「給料」、タイトル戦、一般棋戦などが「ボーナス」に相当します。
藤井聡太名人に挑戦するにはA級に上がること
名人位を獲得するには、A級在籍棋士10名による総当たり戦で1位となり、名人への挑戦権を得た上で勝利する必要があります。
令和6年度のタイトル戦では、藤井聡太七冠以外でタイトルを獲得したのは伊藤匠叡王のみで、彼は順位戦で昇級を決め、令和7年度からB1クラスで戦います。
レジェンド羽生善治九段はB級2組への降級が決まったが、進退については3月31日までに決めるとのことだ。(フリークラス宣言をするか否かの判断)
今回は、順位戦終了を受け、昇級・降級に関する棋士の情報を整理します。
令和6年度 タイトル戦の結果

王将戦は存続の危機に瀕している
王将戦は、令和7年度からスポニチ、毎日新聞が主催を撤退することが発表されている。スポンサー企業を探していると思われるが、今のところ、日本将棋連盟単独主催の予定である。
藤井七冠から叡王位を奪取した伊藤匠新叡王に注目が集まったが、その他のタイトル挑戦者に勝ちあがることはできなかった。但し、B1クラスへの昇級を決めたので来期の順位戦に注目です。
序列と格
将棋のタイトル戦において、「竜王位」は序列1位、「名人位」は序列2位とされています。この序列は、各タイトルの賞金額の違いによって決められたものであり、タイトルの「格」自体はどちらも同等とみなされています。
このように「序列」と「格」が異なるという、日本独特の曖昧な扱いが生まれた背景には、日本将棋連盟が竜王戦の賞金額を増額するために、スポンサーである読売新聞社に配慮した経緯があります。
さらに、「序列と格」の概念は、最も歴史のある名人戦より竜王戦を序列1位とすることに対する棋士の反発を抑えるために、日本将棋連盟が考案したものです。連盟所属の棋士に報酬を支払うための原資が必要なので、こうした措置はやむを得ない側面もあると言えるでしょう。
棋戦 | 期数 | 勝ち | 備考 | 負け | 対局日 | 賞金 | 主催 | 特別協賛 |
竜王 | 37期 | 藤井聡太竜王 | 4連覇 | 佐々木勇気八段 | 2024年12月12日 | 4,400 | 読売新聞 | 野村證券 |
名人 | 82期 | 藤井聡太名人 | 連覇 | 豊島将之九段 | 2024年5月27日 | 3,450 1,650 | 毎日新聞 朝日新聞 | 大和証券グループ(協賛) |
王位 | 65期 | 藤井聡太王位 | 5連覇 | 渡辺明九段 | 2024年8月28日 | 1,500 | 新聞三社 | 伊藤園 |
叡王 | 9期 | 伊藤匠叡王 | 奪取 | 藤井聡太叡王 | 2024年6月20日 | 1,450 | 不二家 | ひふみ |
王座 | 72期 | 藤井聡太王座 | 連覇 | 永瀬拓矢王座 | 2024年9月30日 | 1,400 | 日経新聞 | 東海東京証券 |
棋王 | 50期 | 藤井聡太棋王 | 3連覇 | 増田康宏八段 | 2025年3月2日 | 1,000 | 共同通信 | コナミホールディングス |
王将 | 74期 | 藤井聡太王将 | 4連覇 | 永瀬拓矢八段 | 2025年3月9日 | 800 | スポニチ 毎日新聞 | 綜合警備保障 |
棋聖 | 95期 | 藤井聡太棋聖 | 5連覇 | 山崎隆之八段 | 2024年7月1日 | 700 | 産経新聞 | ヒューリック |
令和6年度 昇級者、降級者

藤井聡太名人への挑戦者は永瀬拓矢九段に決定!
A級順位戦で1位となった永瀬拓矢九段が、藤井聡太名人への挑戦権を獲得した。これにより、王将戦に続き、2025年4月9日に開幕する第83期名人戦でも藤井名人とタイトルを懸けて対戦することになる。
なお、A級順位戦は名人挑戦者を決めるリーグであり、たとえ1位になっても他のクラスのような「昇級」という概念は存在しない。
藤井七冠と杉本師匠の因縁再来
藤井聡太七冠の師匠である杉本昌隆八段が、来期C級1組への降級が決まった。今期(2024年度)、B級2組で5勝5敗と勝率5割の成績を収めたものの、順位が26位と低かったため、降級が確定した。
これは、同じ5勝5敗の成績を収めた棋士が多数いた中で、順位下位の棋士が降級対象となる「頭ハネ」の形となったことが原因である。勝率5割の棋士が降級するのは、将棋の順位戦史上初の出来事であり、杉本八段にとっては極めて不運な結果となった。
とはいえ、かつて藤井七冠(当時七段)と杉本八段がともにC級1組に在籍していた2018年度、二人は9勝1敗と同じ好成績を収めたものの、藤井七段はC級1組昇級初年度で順位が低かったため、「頭ハネ」により昇級を逃し、杉本八段のみがB級2組へ昇級するという出来事があった。その結果、藤井七冠の名人ロードは1年遅れることになったが、当時その原因を作ったのが、まさに杉本師匠だったのである。
今回、同じ「頭ハネ」による降級を経験することとなり、杉本八段は藤井七冠が当時味わった悔しさを、改めて深く理解したに違いない。(記事)
羽生善治九段の苦悩

タイトル獲得通算99期を誇る将棋界のレジェンド、羽生善治九段が、来期B級2組への降級が決まった。これに伴い、自ら「フリークラス宣言」をするかどうかについて、3月31日までに決断を下すとしている。日本将棋連盟の会長職を務めながら、順位戦のリーグ戦を戦い続けることが、年々厳しくなっていると推測される。
通常の棋士であれば、B級2組への降級後も順位戦での巻き返しを目指すため、「フリークラス宣言」をする選択肢は考えにくい。しかし、羽生九段ほどの実績を持つ棋士にとっては、今後の棋士人生のあり方を見つめ直し、進退を考えざるを得ない状況にあるのだろう。
羽生九段の同期であり、十八世名人(引退後に襲名)の資格を持つ森内俊之九段は、かつてA級からの陥落を機にB級1組への降級を選ばず、フリークラス宣言を行い順位戦からの引退を決断した。一方で、十七世名人の称号を持つ谷川浩司九段は、B級2組への降級後も現役を続行し順位戦に挑戦し続けている。(谷川十七世名人は現役ながら、特例で永世称号の襲名を許可された棋士。)
羽生九段がどのような決断を下すのか、将棋ファンの関心が高まっている。
伊藤匠叡王スリップストリームに入る
永瀬拓矢九段と並び、藤井聡太七冠の有力なライバルと目されている伊藤匠叡王が、今期の順位戦B級2組で8勝2敗の好成績を収め、来期B級1組への昇級を決めた。
伊藤叡王は他の棋戦ではまだ大きな結果を残していないものの、順位戦では着実に勝ち星を積み重ねており、その安定感が際立っている。B級1組でもこの勢いを維持すれば、1年でA級へ昇級する可能性も現実味を帯びてきた。
子供将棋大会の決勝で「藤井聡太を泣かせた男」と語られる伊藤匠叡王は、今年度、「藤井の八冠独占を崩した男」という称号を獲得した。伊藤と藤井は同学年だが、これまで藤井が先行し、タイトル獲得数や実績で大きく差をつけられていた。叡王奪取とB1昇級により、ついに藤井聡太名人の背中が見えてきたと言えるだろう。
期待の若手3人
現在、勝率8割超(0.848、39勝7敗)を維持している服部慎一郎七段が、伊藤匠叡王とともにB級1組への昇級を決めた。服部七段は、第18回朝日杯将棋オープン戦の本戦2回戦で藤井聡太七冠に初勝利を挙げた実力者であり、その実力の高さは証明済みだ。
現役最年少棋士である藤本渚六段(19歳)は、C級1組からB級2組への昇級を果たした。C級1組では順位戦参加34人中30位と下位スタートだったが、見事に一期抜けを達成し、その実力の高さを示した。
また、上野裕寿五段(21歳)はC級1組への昇級を決めた。C級2組では在籍54人中52位と極めて低い順位からのスタートだったが、佐々木大地七段ら有力昇級候補を押しのけ、圧巻の9勝1敗という成績を残し、見事1期抜けを果たした。その実力と勝負強さは、今後の活躍を大いに期待させる。
クラス | 昇級 | 成績 | 降級 | 成績 |
A級 |
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B級1組 |
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B級2組 |
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C級1組 |
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C級2組 |
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棋士のヒエラルキー
棋士とは
日本将棋連盟からプロとして活動する資格を与えられた者は「棋士」と呼ばれる。
棋士になる一般的なルートは、まず日本将棋連盟が運営する奨励会に入会し、一定の成績を収めて三段リーグに昇級することだ。三段リーグでは、半年ごとに行われるリーグ戦で上位2名に入ると四段に昇段でき、これによって正式にプロ入りし、順位戦のC級2組への編入資格を得ることができる。年間4人しかプロに昇格できない厳しい世界かつ、奨励会は満26歳までしか在籍できない。
奨励会は完全実力主義で運営されており、性別による区別はない。しかし、日本将棋連盟の歴史において、これまで女性奨励会員が四段に昇段し「棋士」となった事例はない。
C級2組からA級に昇級するまでは、最短で5年。藤井聡太七冠は6年かかった。
女流棋士という特別枠

奨励会2級以上で退会した女性のうち、日本将棋連盟が定める女流棋士規定の一定条件を満たした者は、「女流棋士」としてプロ活動が認められる。ただし、順位戦は四段以上の棋士が参加できるリーグであるため、女流棋士は順位戦に参加する資格を持たない。
とはいえ、女流棋士は女流棋戦で賞金を得ることが可能であり、さらに、一部の一般棋戦では女流棋士向けの参加枠が設けられており、そこで対局料を得ることもできる。特に複数のタイトルを保持するトップクラスの女流棋士は、高額の賞金やスポンサー契約などにより、男性棋士の平均年収を上回るケースもある。
西山女流三冠、福間女流五冠
プロ編入試験に挑戦し、不合格となった「西山朋佳女流三冠」は、かつて奨励会三段リーグに所属していたが、26歳の年齢制限に到達するまえに早期退会。その後、女流棋士としての道を選び、圧倒的な成績を収めている。西山女流三冠は奨励会時代に藤井聡太現七冠に連勝するなど、四段昇段に迫る実力を持っていたため、女流棋士の中でも突出した実力派とみなされている。また、福間香奈女流五冠も奨励会三段リーグで昇段を惜しくも逃し、退会した経歴を持つ。
第2の「女流棋士」
なお、日本将棋連盟の運営方針に反発し、連盟から独立した女流棋士たちによって設立された「LPSA(日本女子プロ将棋協会)」の会員も「女流棋士」とされる。ただし、独立の経緯から、日本将棋連盟主催の棋戦には参加できないなどの制約がある。
A級に昇級しないと名人になれない
「順位戦」は、フリークラス以外の棋士が参加できるリーグ戦です。
プロとして活動する棋士になると、まずC級2組に所属する権利を得て、毎年度の対局を通じて昇級を目指します。最終的にA級(定員10人)へ昇格し、その中で優勝すると名人挑戦権を獲得できます。
つまり、順位戦に参加する棋士の最終目標は名人になることです。羽生九段が逡巡しているように、順位戦から引退するということは、名人挑戦を諦めるということでもあります。
A級に所属する棋士は、棋士のなかでもトップクラスのエリートです。参稼報酬は月額80万といわれています。
*奨励会以下はアマチュアです。(棋士と名乗れない)
*女流は女性限定の制度です

まとめ


【昇級/降級】全棋士ランキング確定、伊藤匠叡王B1へ昇級、羽生九段B2へ降級
2025年3月11日、日本将棋連盟の令和6年度順位戦ランキングが確定しました。順位戦はA級、B1、B2、C1、C2の5クラスに分かれ、棋士は1年間をかけて昇級を目指して戦います。順位戦の結果は棋士の報酬に直結し、上位クラスほど参稼報酬が高くなります。A級の10人は総当たり戦を行い、1位の棋士が名人挑戦権を獲得し、名人に勝てば新名人となります。
令和6年度のタイトル戦では、藤井聡太七冠以外でタイトルを獲得したのは伊藤匠叡王のみでした。彼は今回の順位戦で昇級を決め、令和7年度からB1クラスで戦うことになります。今回は、順位戦の終了を受け、昇級・降級に関する棋士の情報を整理します。
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