地方裁判所の判決なので確定ではありませんが、興味深いニュースが配信されていたのでメモしておきます。
刑事裁判で無罪が確定した人の指紋やDNA型などのデータを警察が保管し続けることが妥当かどうかが争われた裁判で、名古屋地方裁判所は国にデータを抹消するよう命じました。原告の弁護団によりますとこうした判決は初めてとみられるということです。NHKニュース
刑事裁判というフレーズは「あ~、関係ないや...」と思いがちですが、ネズミ捕りで切符を切られた時は関係してきます。
交通違反には、「青切符」「赤切符」がありますが、双方とも裁判で正当性を確認することができます。
「赤切符」は刑事裁判になるため有罪判決が出ると前科がつきます。
裁判の結果「無罪」と判決が下った時は...あ~よかった。と安心するかもしれませんが、切符を切られた時に採取された「指紋」は警察のデータベースに登録されたままです。
紹介する記事は、無罪なのでDNAデータ (指紋含む) を削除しろ!という判決です。
無罪確定男性のDNA型などデータ 国に抹消命じる 名古屋地裁
オリジナル:無罪確定男性のDNA型などデータ 国に抹消命じる 名古屋地裁 | 事件 | NHKニュースNHKニュースを引用します。
オリジナルが削除された時を想定して、魚拓を貼っておきます。
2022年1月18日 19時58分
刑事裁判で無罪が確定した人の指紋やDNA型などのデータを警察が保管し続けることが妥当かどうかが争われた裁判で、名古屋地方裁判所は国にデータを抹消するよう命じました。原告の弁護団によりますとこうした判決は初めてとみられるということです。
名古屋市の奥田恭正さん(65)は、マンション建設に反対する住民グループの代表を務めていた平成28年、現場監督を突き飛ばしたなどとして暴行の罪に問われましたが、刑事裁判で無罪が確定しました。
奥田さんは、警察が捜査の過程で集めた指紋やDNA型、顔写真について「無罪確定後も保管される理由はなく、プライバシー侵害だ」として国にデータの抹消などを求める訴えを起こしていました。
これに対し国側は「規則にもとづき犯罪捜査に資することを目的として管理・運用されている」として無罪となった人のデータも保管することは正当だと主張していました。
18日の判決で、名古屋地方裁判所の西村修裁判長は「無罪となった場合、DNA型などのデータを保管するには、犯罪捜査に資するというだけでなく、余罪の存在や再犯のおそれなど具体的な必要性が示されなければならない」という判断を示しました。
そのうえで「原告に再犯などの可能性を認めるのは困難で、データを保管する必要はなくなった」と指摘して国にデータの抹消を命じました。 原告の弁護団によりますと、国に指紋やDNA型などの抹消を命じる判決は初めてとみられるということです。Internet Archive
名古屋市の奥田恭正さん(65)は、マンション建設に反対する住民グループの代表を務めていた平成28年、現場監督を突き飛ばしたなどとして暴行の罪に問われましたが、刑事裁判で無罪が確定しました。
奥田さんは、警察が捜査の過程で集めた指紋やDNA型、顔写真について「無罪確定後も保管される理由はなく、プライバシー侵害だ」として国にデータの抹消などを求める訴えを起こしていました。
これに対し国側は「規則にもとづき犯罪捜査に資することを目的として管理・運用されている」として無罪となった人のデータも保管することは正当だと主張していました。
18日の判決で、名古屋地方裁判所の西村修裁判長は「無罪となった場合、DNA型などのデータを保管するには、犯罪捜査に資するというだけでなく、余罪の存在や再犯のおそれなど具体的な必要性が示されなければならない」という判断を示しました。
そのうえで「原告に再犯などの可能性を認めるのは困難で、データを保管する必要はなくなった」と指摘して国にデータの抹消を命じました。 原告の弁護団によりますと、国に指紋やDNA型などの抹消を命じる判決は初めてとみられるということです。Internet Archive
スラドの意見
スラド:名古屋地裁、無罪確定の男性の指紋やDNAデータの削除命令。全国初 | スラド サイエンス- 実質意味のない判決。
だけど、消したはずのデータを基にした証拠を提出した場合はこの判決に反したことになり、その証拠が採用されない可能性がでてきたことが画期的だったりする。
憲法判断が絡んでいることで最高裁まで行くだろうし、あと5年以上は確定しないだろうからしばらくは有耶無耶よ。 - 証明は不可能だけど、消せという命令が下ってるのに残してるのがバレたら、ちょっとしたスキャンダルで関係者の責任になる。
仮に残していても、今後ずっと徹底的にないフリをし続ける必要があるので、無意味なわけじゃない。 - 削除要請flagを立てるだけでしょうね。利用できるけど証拠にはしないというだけだけでしょうね。個人情報を取り扱う事業者が目的外使用したとして削除要請した場合、現実的には同じような対応になるんじゃないかな。顧客管理レコードをデリートしたら、システム的に相関が崩れそう。
- 最高裁で確定したら困るから、控訴しないでそっと蓋をするんじゃ?
- ばっくれても警察を逮捕する機関が事実上ないしな。
- 犯罪してなければ何も気にならない
→その考え方は無限に権力を他人に移譲する考え方に他ならないから今のうちにやめとけ。そのうち、自分がどうしても譲れないものでも「やましいことがないならできるはずだ!」と言われる世界が出来上がるだけだから。#いまだ1940年代で思考が止まっているやつがいるんだよな... - DNA情報の取り違えで誤認逮捕あったの知らんの?
https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-136340.html - >警察が不祥事を全力でもみ消すために、人を陥れたことあったの知らんの?
警察官ネコババ事件 - Wikipedia
親切に財布届けてくれた妊婦さえ冤罪にはめるんだよ。それに比べれば、DNA取り違いをもみ消しておっさんはめるのなんて余裕だろう。それでも気にならんの? - 昔バイトしてた店に深夜泥棒が入ったときに指紋とられた。ショーケースやらなんやらについてる指紋から店員のものを除外するため、という説明はされたけど、捜査終了後に消すとかいう説明はなかった。あれの扱いってどうなってるのかなぁ。
- 絶大な権力を単一組織に独占させたら問題出るのも当然だよね。警察は分割して相互監視と競争せないと。
- 先ほども触れましたが、日本には、採取、保管について決めている法律がないということですね。
川口 そうです。法律は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスにはあります。そこでは、どういう犯罪を侵した人のDNAを採るのかという定がきちっとあって、削除条件もあります。しかし、日本では国家公安委員会規則では、「必要な場合は」とだけ規定しているだけです。
削除については、「死亡したとき」と「必要がなくなったとき」ということです。必要がなくなったときというのは、具体例で指摘されているのは重複があったときだけで、起訴・不起訴とか無罪とか関係なく保存しています。無罪、不起訴だからといって削除するわけではありません。
そうすると、一度採られたら採られっ放しで、ずっと被疑者として照合されるし、事件としての軽重も関係ないということなので、あまりにバランスも欠くのではないかということです。これは刑事事件の今の現場で行われていることです。
まとめ
- 地方裁判所2022年1月18日の判決で、無罪になった被告のDNA情報は削除せよ!という判決が下った。
- DNA情報と報じられているが、指紋などの個人情報を特定できるデータを削除する判決となっている。
- 交通違反の「赤切符」を切られて裁判に勝訴した方はこの判決に関係してそうな予感...。
:SC2
このサイトを検索 | Search this site
0 コメント