[2019年度順位戦] 全棋士のランクが確定

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,藤井聡太
AI対プロ棋士

2020年3月12日、
「2019年度順位戦」はB級1組第13局をもって全ての日程が終わり、日本将棋連盟に所属する全棋士の順位が決まりました。

順位戦はA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組のリーグで構成されており、それぞれのリーグに所属する棋士が順位を争う棋戦です。

4月~3月の1年間を通して毎月1回のペースで対局を行い、3月にリーグ内の順位が確定、そして昇級降級が決まります。

4月から前年度の成績を反映したメンバー構成によりリーグ戦を戦うので、リーグを構成する棋士は毎年必ず変わります。

忖度なしの完全な実力制度です。


棋士の収入

日本将棋連盟から振り込まれる対局料は、棋士の所属するリーグと段位で決まります。

対局料や指導料は棋士の段位で変わります。

収入が1,000万円を超える棋士は10%前後だと言われています。

[棋士の収入]
  • 日本将棋連盟から支給される基本給
  • 対局料(順位戦、タイトル戦、その他の棋戦)
  • タイトル戦などの賞金
  • 指導料
  • CMやイベント、講演会などへの出演料

順位戦は主な収入源

ひふみん(加藤一二三氏)、羽生九段、藤井聡太七段などのように人気棋士はCM出演などメディアに露出したり書籍を出版して副収入を得ることができますが、そのような棋士は一握りです。

従って、棋士にとって最も重要な棋戦は「順位戦」です。

[順位戦の特徴]
  1. A級の棋士が順位1位の成績を収めると名人への挑戦権を獲得する
  2. 年間を通して同じリーグに所属する棋士の間で順位を争う
  3. 成績上位棋士は1ランク昇級する
  4. 成績下位棋士は1ランク降級する
  5. 昇級および降級は1ランクのアップダウン(飛び級なし)
  6. C級2組の棋士が降級点を3つ取るとフリークラスへ転出する
  7. 新四段はC級2組に所属してリーグ戦を戦う

新四段は名人に挑戦できない

新四段は、プロ棋士の資格を得て順位戦に初めて参加する棋士です。

A級に所属する棋士で総当たり戦を行い、順位1位の棋士が名人への挑戦権を獲得します。

従って、

B級1組~C級2組に在籍する棋士は、たとえタイトルホルダーであっても名人へ挑戦することはできません。

名人への挑戦は、A級リーグに在籍する棋士のみに与えられた特別な権利です。

名人位は江戸時代から継承されている称号なので、賞金額では「竜王」が最も高額かつ序列1位にもかかわらず「名人」が最も権威のあるタイトルだと認識されています。

日本将棋連盟は、8大タイトル戦の序列を賞金額で決めています。
序列:竜王、名人、叡王、王位、王座、棋王、王将、棋聖

新四段が名人へ挑戦するには、最短で5年かかります。

順位戦の結果(2019年度)

A級は渡辺明3冠が全勝(9勝0敗)して第78期名人戦の挑戦権を獲得しました。4月8日から豊島将之名人と7番勝負を戦います。

初タイトルを獲得した木村一基王位がB級1組へ降級となりました。

谷川浩司九段は、B級2組へ降級となりました。

藤井聡太七段は全勝(10勝0敗)の成績を残し、B級2組への昇級を決めました。前期は9勝1敗の好成績を残しながら頭ハネで昇級を逃していました。

塚田泰明九段がC級2組へ降級となりました。

A級でバリバリ活躍していた頃の印象が残っているので、ここ数年の成績は残念です。結婚したあたりから勝てなくなったような印象があります。

堀口一史座七段は0勝10敗でC級2組へ降級となりました。病名は明かされてないものの体調不良だと言われているので本来の力を出せない状態が続いているものと思われます。

昇級棋士|降級棋士

豊島将之名人への挑戦権は渡辺明3冠が獲得しました。
A級を全勝しての挑戦権獲得です。

[名人戦]

2020年4月8・9日(水・木)
「ホテル椿山荘東京」
東京都文京区関口2-10-8
03-3943-1111

2020/03/12現在
ランク昇級降級昇級降級規定
A級名人挑戦:
渡辺明三冠(9勝0敗)
木村一基王位(4勝5敗)
久保利明九段(2勝7敗)
下位2名は降級
B級1組菅井竜也七段(11勝1敗)
斎藤慎太郎七段(9勝3敗)
谷川浩司九段(3勝9敗)
畠山 鎮八段(3勝9敗)
上位2名は昇級
下位2名は降級
B級2組丸山忠久九段(9勝1敗)
近藤誠也六段(8勝2敗)
飯島栄治七段(4勝6敗)
田村康介七段(3勝7敗)
上位2名は昇級
降級点2回で降級
C級1組藤井聡太七段(10勝0敗)
佐々木勇気七段(9勝1敗)
塚田泰明九段(3勝7敗)
堀口一史座(0勝10敗)
上位2名は昇級
降級点2回で降級
C級2組高見泰地七段(9勝1敗)
三枚堂達也七段(9勝1敗)
古森悠太四段(9勝1敗)
島本亮五段(3勝7敗)
桐山清澄(1勝9敗)
上位3名は昇級
降級点3回で降級

降級点の振り分け

日本将棋連盟から引用します。

B級2組以下では、リーグ参加者の5人に1人の割合で成績下位者に降級点がつきます。降級点のつく人数は参加者が15人以上19人以下でしたら3人、20人以上24人以下でしたら4人、25人以上29人以下でしたら5人、となります。
日本将棋連盟

参加者降級点
15~19人3人
20~24人4人
25~29人5人B級2組:25人
30~34人6人
35~39人7人C級1組:36人
40~44人8人
45~49人9人
50~54人10人C級2組:52人

あとがき

A級、B級1組

A級(10名)、B級1組(13名)は在籍する棋士の定員が固定されているので、それぞれのリーグに在籍する棋士の総当たり戦を行い順位を決めます。

A級で1位の成績を収めた棋士は名人への挑戦権を獲得します。この規定により、第77期豊島将之名人への挑戦者は渡辺明3冠に決まりました。

第78期名人戦の第1局は、2020年4月8日、9日に「ホテル椿山荘東京」で行われます。

A級は最上位リーグなので成績上位者になっても昇級はありません。
B級1組は成績上位者2名がA級に昇級します。

[A級へ昇級となる棋士]
  • 菅井竜也七段(11勝1敗)
  • 斎藤慎太郎七段(9勝3敗)

A級、B級1組いずれも成績下位者2名が降級となります。
初タイトルを獲得した木村一基王位は降級となりました。

[B級1組へ降級となる棋士]
  • 木村一基王位(4勝5敗)
  • 久保利明九段(2勝7敗)

B級2組、C級1組、C級2組

B級2組、C級1組、C級2組は定員が定められていません。

在籍する棋士が多く総当たり戦ができないため直ちに降級とはならず、成績下位者は降級点が付与されます。

降級点が付与される棋士の数はリーグに所属する棋士の数で変動するしくみになっています。(降級点の振り分け参照)

降級点は累積方式で運用されているので、B級2組、C級1組に在籍する棋士は降級点を2つ取ると次年度から下位のリーグに降級します。

一定の成績を収めると降級点は消滅します。

C級2組に在籍する棋士は降級点を3つ取ると次年度からフリークラス転出となり、順位戦では戦えなくなります。

フリークラスは毎月の対局がないので、年間10局(C級2組)あった対局料がゼロになるため大幅な年収ダウンとなります。

谷川九段はまだ現役

森内俊之九段は、A級から降級することが決まった時にフリークラス宣言をして順位戦から引退しました。

谷川浩司九段(十七世名人)はA級陥落後もB級1組で戦ってきましたが、2020年度はB級2組に戦いの場を移します。

私が見たメディアの記事では、引退には否定的なコメントを出していました。

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