Vivaldi(ヴィヴァルディ) バージョン2.10.1745.23
2019年12月10日、Vivaldi TechnologiesのRuarí Ødegaard氏は、VivaldiブログにてVivaldi v2.10からUser-Agentを変更することを発表しました。
具体的には、User-Agentから「Vivaldi/xxx(version)」を削除することを発表しました。
User-AgentはブラウザがWebサーバーへ渡すクライアント情報のことで、WebサーバーはUser-Agentを解析してブラウザに対応するhtmlを返します。
例えば、PCとスマートフォンで異なるページを表示させるためにUser-Agentが利用されています。
User-Agent から Vivaldi を削除
Vivaldi 2.10.1745.1からUser-Agent文字列「Vivaldi/xxx(version)」が削除されます。
User-Agentから「Vivaldi」の文字列を削除して、VivaldiブラウザであることをWebサーバーへ通知しない選択をした今回の決断は、独自レンダリングエンジンの開発を諦めたという意思表示ではないかと受け止めています。
VivaldiはOperaからフォークしたブラウザです。
User Agent Changes
Vivaldi is changing how it presents its User Agent in the upcoming release. Here is an explanation of what a User Agent is and what we are doing.
vivaldi.comUser-Agent 検証結果
Vivaldi 2.10.1745.23のUser-Agentには、Vivaldiのバージョンを表す「Vivaldi/2.9.1705.41」相当のデータが送信されていないことを確認しました。
Vivaldi | 2.10.1745.23 | 2.9.1705.41 |
User-Agent | Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/79.0.3945.94 Safari/537.36 | Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/78.0.3904.99 Safari/537.36 Vivaldi/2.9.1705.41 |
なぜ削除?
User-Agentに「Vivaldi」の文字列が含まれる場合、特定のサイトで正しく閲覧できない問題が発生しているため、Vivaldi Technologies は User-Agentから「Vivaldi」を削除する決断をした。
つまり、ブラウザを改善するのではなく安易な方法を選択したともいえる。
AppleWebKit, Geckoはレンダリングエンジンの名称で、全てのブラウザのUser-Agentに使用されています。
Webサーバーは、User-AgentのMozilla, Chrome, Safari, Vivaldiの文字列を解析して対応するHTMLを返すものが存在します。
Ruarí Ødegaard氏のブログによると、User-Agentに「Vivaldi」の文字列が存在する場合、次のサービスで問題が発生しています。
- Google.com
- Googleドキュメント
- FacebookのWhatsApp
- Microsoft Teams
- Netflix
疑問あり...?
VivaldiはChromiumベースのブラウザなので、レンダリングエンジンはBlinkを使用しています。
Chrome, Vivaldi, Opera, Chromium-Edge, ...などのBlinkを使用しているブラウザの基本性能(HTMLを解釈する機能)は同じです。
なのに、Vivaldiだけ使えないサイトが存在する...
しかし、User-Agentから「Vivaldi」を削除したら使える...
私がVivaldiに魅力を感じなくなった理由に繋がりますが、独自色を出しすぎて改造しすぎたのではないでしょうか?
Ruarí Ødegaard氏の主張
出典:https://vivaldi.com/ja/blog/user-agent-changes/
ブラウザの変遷
Webブラウザは「NCSA Mosaic」が起源ですが、全世界に普及したのはWindows 95+Netscape Navigatorです。(たぶん)
Mosaicはテキストデータのみ対応ですが、Netscape Navigatorは画像、フレームに対応していました。
「Mozilla」は1994年にリリースされたNetscape Navigatorのコードネームで、現在のMozilla Foundation (Mozilla Firefox) に継承されており、すべてのブラウザのUser-Agentに設定されています。
AppleWebKit, Gecko, BlinkはWebブラウザのレンダリングエンジンの名称です。
レンダリングエンジンはHTML構文を解析して、ブラウザを通してユーザーに解析結果を表示するプログラムです。
現在は、Googleが主導するChromiumプロジェクトの成果物「Blink」が主導権を握っています。
Blinkは、MicrosoftがInternet Explorerに搭載してきたレンダリングエンジン「Trident」の開発を断念させるほどの勢いがあります。
AppleWebKit
そんな「Blink」ですが、User-Agentは「AppleWebKit」です。
AppleWebKitからフォークしたのがBlinkなので、Blinkを使用していないと思われます。
Trident (Internet Explorer) は、シェアの力にものを言わせて標準化前の独自タグを搭載してゴリ押ししてきました。そして、消滅しました。
Safari (WebKit) がBlinkに移行するという噂がありますが、Appleはその噂を否定しているので今はまだ「うわさ」レベルなのでしょう。
Tridentの例があるので、一極集中はいい状態だとは思えないのでAppleさんには踏ん張ってほしいと思っています。
Mozilla | NetscapeのUser-Agent Mozilla/1.0 (Win3.1) |
Gecko | FirefoxのUser-Agent Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; sv-SE; rv:1.7.5) Gecko/20041108 Firefox/1.0 |
WebKit | SafariのUser-Agent Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X; de-de) AppleWebKit/85.7 (KHTML, like Gecko) Safari/85.5 |
Blink | ChromeのUser-Agent Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/79.0.3945.88 Safari/537.36 |
あとがき
今後のVivaldiがどうなっていくのか、生暖かく見守っていきたいと思います。
Vivaldi 2.10.1745.23はChromeのUser-Agentとほぼ同じになったので、Chromeが動作するWebサイトはVivaldiでも動作するはずです。
「ほぼ同じ」の理由は、
この記事を書いている時点のChrome, Vivaldi最新版に採用されているChromiumバージョンが異なります。
Vivaldiの方が新しいChromiumを採用しています。
- Vivaldi:Chrome/79.0.3945.94
- Chrome:Chrome/79.0.3945.88
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