2018年度は将棋八大タイトルを8人の棋士でシェアする時代になるのか?

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左馬

第89期ヒューリック杯棋聖戦

2018年7月17日に行われた第89期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第5局において、豊島将之棋聖が羽生竜王を下し棋聖位を獲得しました。

今回の結果により、
8つのタイトル戦を8人の棋士がシェアする戦国時代になりました。

7月5日から第59期王位戦が始まっており、豊島将之棋聖が挑戦者なので、豊島棋聖は二冠を獲得して頭一つリードできるかもしれません。


タイトル戦

タイトル戦は優勝者に称号が与えられる棋戦で、最も歴史のあるのが名人戦、最も新しいのが叡王戦です。(次項の表参照)

日本将棋連盟はタイトル戦の序列を賞金額で決定しているので、最も歴史のある名人戦よりも竜王戦の方が上位の序列に配置されています。

2017年度第3期からタイトル戦に昇格した叡王戦以外の棋戦は、いずれも大手新聞社が主催しています。

叡王戦はニコニコ動画を運営するIT企業ドワンゴが主催しています。

叡王戦の序列1位を拒否した日本将棋連盟

ドワンゴは叡王戦がタイトル戦に昇格するにあたり、竜王戦を上回る賞金額を提示したといわれていますが、その提案を日本将棋連盟が受け入れることはありませんでした。

竜王戦を主催する読売新聞社に配慮したのではないかと言われています。

1997年創業のドワンゴが序列1位のタイトル戦を主催することに古い体質が拒否反応を示したように見えます。(追記:正しい判断だったようです

日本将棋連盟は、賞金額を基準にして最も歴史のある名人戦よりも竜王戦を序列の上位にしているので、ドワンゴの提案を受け入れて叡王戦を序列1位のタイトル戦にしてもよかったのではないでしょうか?

賞金額が増えれば日本将棋連盟と棋士の収入増につながるのに...。

タイトル戦の状況

竜王戦以外の賞金額は公表されていないので推定値です。

竜王戦の賞金額を考慮すると、ドワンゴは賞金額4,500万円程度の金額を提示したことが推測できますが、結果として名人戦を下回る賞金額に調整されています。
賞金:万円、竜王以外は推定値 2018/06/24
棋戦 期数 保持者 段位 対戦棋士 対局日 賞金 次期挑戦者 備考
竜王 30期 羽生善治 九段 渡辺明竜王 2017/12/05 4,320

名人 76期 佐藤天彦 九段 羽生善治竜王 2018/06/20 2,000
3期連続
叡王 3期 高見泰地 七段 金井恒太六段 2018/05/26 2,000

王位 58期 菅井竜也 七段 羽生善治王位 2017/08/30 1,000 豊島将之八段 第59期
王座 65期 中村太地 七段 羽生善治王座 2017/10/11 800

棋王 43期 渡辺明 九段 永瀬拓矢七段 2018/03/30 600

王将 67期 久保利明 九段 豊島将之八段 2018/03/15 300

棋聖 89期 豊島将之 八段 羽生善治竜王 2018/07/17 300

竜王戦の賞金額は?

日本将棋連盟公式サイトでは、記事により2つの賞金額が混在しています。
税抜4,000万円と思われます。

[竜王戦の優勝賞金]
  1. 4,320万円 (2017年)
  2. 4,400万円 (2021年)

藤井聡太七段は初のスランプか?

藤井聡太七段は、棋士の本丸C級1組順位戦では森下卓九段に勝ち2連勝なので順調に見えますが、NHK杯戦で今泉健司四段に敗れ、竜王戦では増田康宏六段に対して反則まがいの振る舞いをしつつ敗れています。

将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(15)は15日に放送された第68回NHK杯テレビ将棋トーナメント1回戦で、先手の今泉健司四段(45)に159手で敗れた。

 藤井七段は14歳2カ月の史上最年少でプロデビュー。一方の今泉四段は年齢制限で奨励会退会後、企業などに勤務しながらアマとして活躍。その後、プロ編入試験を受けて合格し、戦後最高齢の41歳でプロデビューした。

 藤井七段の今年度の成績は10勝3敗。
産経ニュース
日本将棋連盟は2日、最年少プロの藤井聡太七段(15)が6月29日の竜王戦で、反則の「待った」を疑われるような着手があったとインターネット上で指摘されたことについて、「反則ではなくマナーの問題なので、師匠(杉本昌隆七段)から本人へ注意すると聞いております」とのコメントを出した。

 対局後、連盟の常務理事らが映像で確認し、反則ではないと判断した。

藤井七段は増田康宏六段(20)との対戦で終盤、持ち駒の「桂馬」を指そうとしたが、すぐに戻して「飛車」を着手した。ただ、増田六段からの指摘はなく、対局はそのまま進んで、125手で藤井七段が敗れた。

 「待った」は1度着手して駒から手が離れた後、駒を元に戻したり、指し手を変更したりすることで、反則となる。

 平成17年、加藤一二三・九段(78)が「待った」の反則をし、出場停止処分になった例がある。
藤井七段の着手に注意 「反則でない」将棋連盟 - 産経WEST

谷川浩司九段久しぶりにNHK杯戦1回戦突破

「高速の寄せ」が代名詞の谷川浩司九段(永世名人資格者)が佐々木勇気七段を破り1回戦を突破しました。初戦に勝利したのは第64回ぶりです。

出典:NHK杯テレビ将棋トーナメント|NHK囲碁と将棋

NHK杯

NHK杯戦の戦績

第68回:谷川浩司〇 vs ●佐々木勇気
第67回:谷川浩司● vs 〇阿部健治郎
第66回:谷川浩司● vs 〇阿部光瑠
第65回:谷川浩司● vs 〇阿部健治郎
第64回:谷川浩司〇 vs ●小林裕士

※第64回は谷川浩司九段はシードのため2回戦から出場し、小林裕士棋士に勝利しています

あとがき

棋戦は次のように区別されています。

出典:Wikipedia
  • 8つのタイトル戦(竜王、名人、叡王、王位、王座、棋王、王将、棋聖)
  • 3つの全棋士参加棋戦(朝日杯将棋オープン戦、銀河戦、NHK杯テレビ将棋トーナメント)
  • 1つの上位棋士選抜棋戦(将棋日本シリーズJTプロ公式戦)
  • 3つの若手棋士等選抜棋戦(新人王戦、YAMADAチャレンジ杯、加古川青流戦)
  • 1つの非公式戦(AbemaTVトーナメント)

タイトル戦と全棋士参加棋戦はスピード昇段への足掛かりとなるので重要な棋戦です。

四段、五段、六段の棋士が全棋士参加棋戦に優勝すると、上位の段位に昇段することができます。

藤井七段を例に取ると次の通りです。
  1. 2017年76期順位戦C級2組全勝昇級により五段昇段
  2. 16日後の第11回朝日杯将棋オープン戦優勝により六段昇段
  3. 2018年第31期竜王戦5組ランキング戦準決勝に勝ち竜王戦4組に昇級及び七段に昇段
  4. 現在に至る

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